ユース・アメリカ・グランプリが終わり日本の皆さんも少し遅れた新学期を迎えられたでしょうね。
参加者たちは1週間、朝から夜までコンクールやワークショップ、デフィレのリハーサルが続きみんな疲れたでしょう。
わたしも毎日いろいろ見て刺激を受け、再開や新しい出会いもあり、日本のダンスキューブへ記事を書き、充実しました。
このコンクールには世界中からの参加者が集い、そして世界各地からのバレエ学校の校長先生や代表の方が審査員として来られて、その先生方が舞台上に勢ぞろいした姿は圧巻でした。
ユース・アメリカ・グランプリは才能を見出すコンクールとして掲げてあり、このコンクールを経て留学する生徒、このコンクールを経てカンパニーの入団を果たすダンサー、また才能があっても金銭的にバレエを続けることが難しい生徒がこのコンクールを経てスカラシップをも手にし夢が叶ったストーリーなどがあります。
知名度が年々上がり、年々参加者が増えることから、レベルも毎年上がっていると思います。
そして世界中にはこれだけ沢山の子供たちがバレエに生活を捧げて頑張っているのだと驚かされ、
時代とともに子供たちの体の変化していることも見てわかります。
このコンクールの審査員はパリ・オペラ座バレエ学校、ロイヤルバレエ学校、アメリカンバレエシアター、ボリショイバレエ団などと言った世界有数のバレエ団、付属バレエスクールの先生たち。
審査の目は世界有数のバレエ学校、バレエ団に入ってやっていけるかどうか、非常に厳しい目で見られていると思います。
ジャクソンコンクールはプロも出場していることから完成度、芸術性など。
フロリダのコンクールはレッスン審査から始まり、コンテやバリエーションを速攻で覚えて披露もするので、対応力も見られる総合的な審査。
YAGPに関しては、ファイナルに残った生徒たちの多くは、バレエをする人達が『あったら良いな』と思う身体条件を持った子供たちだった気がします。
例えばですが、股関節がどこまで開いているのか。
膝がどれくらい伸びるのか。
甲のアーチががどれくらいあるのか。
身体のバランスなど。
私は日本から来た生徒さんたちや、アメリカに住む生徒さんたちと話す機会がありましたが、「このコンクールは厳しい。」「ハードル高い。」「ファイナルに残れなくて残念」「もともと持ってるものが違う」なんていう言葉を耳にしました。
うーん。
これに関して私は少しモヤモヤ。
もちろんファイナルに残った子はみんなとても素晴らしかったです!!
その美しさ、レベルの高さ、プロ並みに踊る10代の子供たちには驚かされました。
みんな普通以上の努力をして練習を重ねてきた。
でも『あったら良いな』の条件があるからと言ってバレリーナになれるわけではないです。
条件が弱くても自分の良さを発揮できる部分を磨いて強みを作る。
そして条件を持っている人に少しでも近づくよう努力をすれば自分も少しずつ変わる。
世の中にはバレエ団は沢山あります、バレエに関わっていけるお仕事も沢山いろいろとあります。
だからYAGPや他コンクールで何もならないからと言って下を向く必要はありません。
このコンクールで何も貰えなくても、そしてまた他のどんなコンクールに出て受賞できなくても、それでバレエを諦めないで欲しいです、いろんな可能性があることを信じて、自分の目標に向かって、好きなバレエを続けて欲しい。
フロリダのコンクールで会ったある先生とのお話し。
『生徒で一度もコンクールで受賞したことが無い子が今度カンパニー入団が決まったんだけど、何度もコンクールで受賞している生徒はカンパニーがまだ見つからない。そんなものよね。コンクールで賞を取ったからどうこうじゃないのよね。コンクールは経験をする場所。学ぶためのものよね。』
私もそう思います。
コンクールは世の中に沢山増えましたね。どのコンクールにどのような目的で出るのか。
まず練習を積むためのひとつのゴールとして。
時期が来たら就職をかけてコンクールに挑戦する事や経歴のためにチャレンジすることもあると思います。
コンクールで良い結果を出せず悩んでいる人、自分にはバレエの才能があるのかと思う人、我が子はバレリーナになれるのか、と思う皆さん、もし皆さんの目標がマリーンスキーやロイヤルバレエ、パリオペラ座と言ったバレエ団に入ることならば、それは10,000分の1以下のとても難しい可能性かも知れません。
でも好きなバレエを仕事にし、またはどんな環境でも好きなバレエが出来ることは幸せ、と思えますか。
私も含めて世の中のバレエを続けている多くが後方の人達だと思います。
だって好きじゃなければ続けられないですよ。
身体の条件は真剣に自分と向き合い少しずつ努力をすれば変わっていきます。
それに自分の持っているものをいかに上手に使うかで見た目は変わります。
逆に言えば良い条件を持っていても使い方が正しくなければダメにもなる。
足のアーチは足の裏をほぐし、日々足の裏の筋力を高めるエクセサイズし、常に長く長く足先を伸ばすように使い、ルルベを常に高く努力して、ポワントシューズを自分の足に合うように改良していけば足先も綺麗になっていきます。
ターンアウトはストレッチをするだけではなく、筋力を使って開くこと。
お尻の筋肉を使って、内腿から外向きに開き、常に股関節を外へ開くように気をつけて使っていけば、少しずつ開いてきます。
そしてコアマッスルとお尻の筋肉はセットで使うこと。
そして骨盤はお椀だと思って正しくまっすぐに保たなければお腹もお尻も正しく使えないのでターンアウトもバランスも取れません。
コアマッスルが弱ければターンアウトを正しく使って踊れません。 お尻とコアマッスルを鍛えましょう。
膝の裏はフレックスをして膝裏を長く伸ばすように使う。
いつも身体を引き上げて膝を助けること。
自分の身体のことをよく知って、使い方をよく考えてレッスンを行なえば必ず少しずつ変わります。
鏡を自習に使いましょう。
自分をよく見て研究しましょう。
先生たちは生徒に上手くなって欲しいのは当たり前です。
でもそれぞれ違った身体、違った性格、全員素材は違います。
限られた時間の中で生徒たち一人一人に目をやり、一人一人にみっちり助言をするのは大変です。
だから生徒はどんな注意も一つも聞き逃さないように。
他の人からも賢く盗んでスマートでいること。
バレエは自宅ではなかなか出来ません、スタジオにレッスンに来たらその時間は1分も無駄にしない。
そしてバレエには必要とされる条件が沢山あります。
精神力。
厳しい練習に耐える精神力と自分に厳しくできる精神力。
そして忍耐力、持久力、筋力、表現力、柔軟性、音楽性、芸術性、社会性とさまざまな物が兼ねそろわなければいけません。
これらがレッスンを通して日々トレーニング出来るバレエはなんて素晴らしいんだろう、と思います。
なんだか長くなりまとまりも悪くなってきたのでここらで締めます。
コンクールに出ることは反対じゃないです。
上手くなれるチャンスだと思います。
言いたいことはコンクールの結果で左右されないで。
バレエはそれだけでは無いのです。
ではオヤスミなさい。